この前,技術と営業だかという話をしたが,今日は博士と営業(笑).
博士ってか,バカセでいいんだけどね(苦笑).
ようするに,俺は一応博士なのだ.
一般に博士といえば,一応ある程度の見識なりを持つものと社会からは見られる.俺のようにただ毎日飲んだくれてる馬鹿でも,社会一般には,そう見られる.
博士だってことで,とりあえず,話を聞いてもらえる.
営業にとって,このとりあえずの意味は大きい.
俺は別に名刺から博士の言葉を消すことにためらいはない.会社的に消したほうが良いのであれば,消す.ただ,今のところ,これを利用しない手はない.
俺が理論流体で学位をとって,電気や通信といったことについてまったくの素人であっても,話をきいてもらえるのだから.
…なーんて書けば,いいことずくめみたいだけど,むしろ,博士の看板を背負って営業するのは難しい.上に書いたごとく,一般には博士だからと信用される.信用されるということは,それだけの見識なりを持ち合わせていなければならない.ただの営業のための商品知識を持っているだけなんて,お客さんは誰も思わない.俺がお客さんの質問について答えたことは,単なる営業が応えた営業回答ではない.それがそっくりそのまま信じられてしまう.
だから,俺は売るための嘘をつくことだけは絶対にしない.
俺個人がその嘘のために馬鹿にされることは構わないが,営業は会社の看板を背負って行脚するのであるから,俺の嘘は会社の嘘になる.
それに,これまでお客さんの要求が厳しすぎて,どう頑張ったってまともな価格帯で実現できるようなものではなかったり,形だけは満足しても性能として十分にはならなかったりするようなことがたびたびあった.最初こそ,売れなくなる,ということが怖くて,できもしないことをできます,と言ったことが何度かある.それで,お客さんにこういわれた.「荒木さんができるって言ったんじゃないか」
それ以来,俺はできないことはできないと言うことにしている.
それは投げ出すという意味の「出来ない」ではなく,要求をそのまま実現することはできない,と言っているだけ.俺には制限はあるけれど,出来ないなりに,お客さんの要求を違う形で可能なかぎり満足できるシステムを提案するというタマがある.目先の1千万のために嘘ついて,出来ませんでした,失敗しました,ダメでした,というのか,将来の1千万×nのために,お客さんの本当の意味での信頼を得るのか,いずれかだと思う.俺はもちろん会社員であるから,売上も重要なので,簡単には行かないが,できるだけ,メーカーのどんなおえらいさんでも,エンドユーザーのおえらいさんでも,それはできない,ということははっきり言うことにしている.
それが俺が博士という肩書きで営業をする上での礼儀だと思う.
青二才の考えだと思うが,商売は信頼だと思うから.荒木ってやつは生意気だが,あいつに聞けばよく分かるし,あいつから買いたい,と思ってもらえるようにありたい.まだまだ道のりは長いが,営業としての俺の目標である.
…なんでこんなことを書いたかっていうと,うちで扱っている海外製品の営業を俺が一手に任されることになったから(苦笑).上に書いたような格好いいことよりもまず,商品知識を頭に叩き込んで,実際にモノを触って,ユーザの視点を持てるようになることが,目下の緊急課題だったりする(苦笑).
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