血は沸き 肉の踊るる その思い
いかにか応えん 小さき我もて
くだらぬ,そしてメチャクチャな歌が帰りの電車でうかびました.
何の因果か,このブログで読者の方より励まし頂いたその休み明け一番に我が英国の師よりメールが一通届いた.いつもは,1行メール("Come to my office at ten"とかそんなの(笑))しかくれなかったあの優しくも厳しい師から,画面に溢れるくらいの長い長いメールが届いた.
曰く
”元気にしているか?マンチェスターはお前も知るように相変わらずの気候だ.日本はどうだ?”
すみません.この一行で舌噛み切って死にたくなりました.こんなあいさつ文を書く人じゃないのに.俺が初めて彼に一度会って話をしたい,と入学直談判の申し込みをした時でさえ,こんなこと書いてくれなかったのに.
続けて曰く
”前からいくつか話をしているが,お前が日本以外の国で職を得るのが嫌でないのなら,またアメリカでの職ではあるが,マンチェスター大学で学位をとってずっとアメリカにいる英国人教授の研究室が近々ポスドクの公募を出すそうだから,もし嫌でなければ,応募してみないか?”
実は夏ごろより何度か彼からアメリカでのアカデミックポストに応募しないかとの誘いのメールをもらっていた.その度ごとにあの彼が一体どこから仕入れてくるのかわからないけれど,軍需関連(ミサイル関連)のとある研究所でのポストや,上とは別の大学でのポストなど,もちろん日本とは違って完全な「公募」だから,決して応募すれば必ずそのポストが用意されうるものではないのだけれど,あのものぐさな彼がここまで俺のごときを買ってここまでいろいろと薦めてくださるのが,自らを省みて情けないやら,申し訳ないやら,そんな気持ちで一杯である.
実は一年前,学位授与式の日に先生と話をしていて,俺はせめて海外でのポスドクなら,英国でやりたい,というほどのことを言ったとき,「アメリカへ行け.アメリカなら防衛費で理論研究ができるから.お前は前に俺に言った如く”thereotical fluidist”なんだろ!」とおっしゃった.実は先生,ご自身のことをよくmathematicianとおっしゃっていたのだが,俺が敢えて俺は”理論流体屋(theoretical fluidist(造語))”だ,と言って,かえって先生,このtheoretical fluidistの言葉をいたく気に入られて,爾来mathematicianとはおっしゃらず,theoreticianだとかtheoretical fluidistだとかと自身を称しておられた.先生自身,実は航空の出身でいられて,応用のための研究はあまりお好きではなかったが,しかし,応用を視野に入れない理論馬鹿もまた大嫌いでいられた.一度俺がFaradayは”生まれたばかりの赤ん坊(理論)が一体何の役にたつのか,誰がわかるというのか”ということを口にしたとき,ひとこと”それはFaradayが馬鹿(stupid)だからだ”とおっしゃった.かくいう先生,理論屋集会では”役に立つと立たざるとを問わず,この理論には意味がある”と教卓を叩いて熱演されたのだが(笑).
そんな先生が続けて曰く
”Daisuke,お前はアカデミック界で必ず業績をあげ貢献し得る人間だ.今,お前がアカデミック界にいないことについて慙愧の念に耐えない”
訳してて泣けてきた...
俺はあの先生をしてここまで言わせしめるほどの優秀な学生でなかったし,学位審査のときも,阿呆な答えをして審査員を呆れさせたほどの輩である.だから,先生の言葉は勿体無すぎる.ある意味,Feynmanが指導教員から受けた"the most promissing student"に匹敵するほどの有難いお言葉である.
俺はどう答えを出せばいいのだろう.
俺ただ一人なら,答えは簡単だ.そのままNew Yorkへ飛べばいい.
しかし,今の仕事はどうなる?何の業績も上げず,どんなに普段文句たれて,自棄酒飲んで憂さ晴らしするのがオチだとしても,それでも無責任に放り出せるほど軽いものじゃない.先輩や部長に対して一男児としてどう申し開きするというのか.---いや,これは先輩や部長を言い訳のネタにしているに過ぎないか.要するに俺自身がこんな中途半端で仕事を投げ出すのがいやなのだ.実は偶然今日ふと朝電車で"引き際"ということを考えた.もし今俺の担当する仕事で向こう3年で売上が億に乗ったら,その年でさっぱり辞めようと,そんなことを考えた.どだい無理な話だが,ハードを売るということを考えたら,そう非現実的な話ではない.経常利益は少ないが,単純に売上高だけを見るなら,ハードで億に乗せることは,非現実的とは思わない.要するに,うちに技術があるだとか,技術もない人間が平気で俺は技術をやりたいとか,目先の数百万に手を出したりせず,ただ地道にやれば,必ず達しうる額だと思う.10億売るのはそりゃ難しいけれど(笑).
話は逸れたが,要するに俺としては,億単位,別に億に乗らなくてもいいのだが,ただとにかくある道をつける(ハードなら,億単位が1つの目安というだけ)ことができれば,あとは誰が担当したって売れるものは売れる.
技術がある⇒それを売る
というのも間違いとはいわないが,現実には
技術はなくともお客の欲するものがある⇒売れる
というごく当たり前の路線がある.技術はなくともお客の欲するものがあれば,粗悪品だって売れるのだ.それがマーケットだから.俺個人だから買ってくれるなどと思い上がるつもりは毛頭ない.どんな理由だって,お客さんに買ってもらえればよい.それがほんとの意味での金儲けだ.中途半端で,下らないプライドなどくそ喰らえ,だ.だいたいよく言う「我々の技術」って何なのさ.思い上がるのは豆腐の角に頭ぶつけて反省してからにしろと言いたい.
道をつけるのには難しいところはあるが,一旦道がつけば,誰が売ったって,お客さんの欲する限り,それは売れるのだから.それゆえに,道をつけるの意味で大台に乗せたいと思う.
と,また脱線したから,話を戻そう.
俺は俺の人生として,どう生くべきか.
そんな下らぬことを考える.
よく分からない.俺は一体何をしたいのだろう.
今日も道化て「自棄酒飲んできますっ!」と減らず口を叩きつつ,我が恩師からのメールを読んで仕事が手につかなくなり,早々に辞していつもの飲み屋へ行って酒を呑んだけれど,これほど姐さん特製の水割りがまずかった日はなかった.呑んでも呑んでもまずい.こんなにまずい酒は,社長と呑む酒以外にありえないのだが(笑).結局,1時間ほどの間に水割りを4,5杯飲んで,嫌気がさして帰ってきた.22時前に帰宅する始末.
嗚呼,俺は一体何をしたいんだろう...
先生にはなんて返信したらいいんだろう...
2 件のコメント:
はじめまして。私は英国在住で、荒木さんのブログを以前から興味深く拝見しておりました。何も知らない見ず知らずの他人がとやかく言うことではないとは思いますが、今回のオファーについて、是非とも挑戦していただきたく、初めてコメント致します。あと3年もたてば、このような機会はもうなくなってしまうかもしれません。若い時の3年は取り返しがつきません。会社は一社員がいなくなったとしても、変わりなくまわっていきます。先生のお気持ちに応えるべく、荒木さんの最優先事項は何かよく考えて、決断されることを切に願っております。
申し訳ありません.
レスがすっかり遅くなってしまいました.
改めまして,コメントありがとうございます.
このところずっとこのことに関して悩んで悩んで,悩み尽くしました.荒れに荒れて,メチャクチャでしたが,結論を出しました.
会社も1つの理由ではありますが,やはり,自分しかなすことのできないことというのがあり,それを優先するのが私のこの世に生まれてきた理由と思い
,今回の話はお断りすることにいたしました.
冷静に考えればこんな莫迦な決断もないのです.自分の好きなことをやって,今の給料の2倍以上もらえるんですから(苦笑).
ただ,どうしても,金でも名誉でも,自分のやりたいことでもなく,自分のやらなければならないことがあり,それはアメリカへ行ってしまっては,或いはできなくなってしまうため,やはりそれに徹するべきと,このような決断を致しました.
会社に関しては,もう不満だらけですが(笑),ご指摘の通り一平社員がいなくなったとしても変わりなくまわると思いますし,来年の契約更改で給料が大卒初任給レベル(笑)から上がらないならすっぱり辞めるつもりです(苦笑).
今回の件をふくめ,いろいろな方から応援をいただいたのですが,こんな結論しか出せない自分を不甲斐なく思います.ただ,とにかく,応援くださった皆様には本当に感謝しております.正直,泣きたい気分でした.ありがとうございました.
こんな莫迦な人間ですが,また時々ブログを読んでやっていただければ嬉しく思います.
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