2007年9月23日日曜日

本日の言葉

仄聞するところによれば,中央に於ても,今後の兵学校教育は軍事学中心,修業年限を短縮し,彼らを初級指揮官として早く大量に第一線へ送り出したい意向のやうだが,私の考へは全くちがふ.世間に出てすぐ役に立つやうな教育はいはゆる丁稚教育であつて,丁稚教育を受けた者は目先の実務は上手にやれるかも知れないが,情勢に大きな変化が起つた場合,自ら判断し自ら事に処することが出来ない.もし今次のいくさに直接役立つ若者だけ養成してをればよろしいと言ふのなら,海軍には砲術学校,航海学校,潜水学校等,各種の術科専門学校がある.そちらを残して,兵学校自体はこれを廃止すべきである.兵学校教育の伝統を尚存続させる所以のものは,二十年後三十年後,真に日本の運命を背負つて立つ人材の,大木に成長すべきポテンシアルを持たしむるにある.そのためには,軍事学の時間を削減しても,国語,歴史,数学,物理学等々,普通学の方をもつと充実させねばならぬ.

--- 井上成美海軍大将

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